南 條 敦 子 (なんじょうあつこ)
和菓子インストラクター。
京都大学文学部で過ごした学生時代から和菓子の魅力にはまり、自己流和菓子を作って遊ぶ。
子育てが終わると「第二の人生は和菓子とともに生きたい」と真剣に願いー、
京菓子講師倶楽部の門をたたき、京都の老舗和菓子屋『笹屋吉清』 の保木進先生をはじめ
『亀屋重久』『かま八老舗』などの当主講師から技術、アイデア、工芸菓子を学ぶ。
同時に東京の和菓子教室『あとりえ』の門下生となり宮澤裕通先生から高度なテクニックに加えて東西の和菓子文化の微妙な違いも学ぶ。
日本菓子専門学校通信教育学部にて素材全般の理論を学ぶ。
その他、京都『老松」の四代目当主 太田 達氏より和菓子の歴史について講義を受ける。
2016年、横浜市の国際交流ボランティアとして日本在住外国人に和菓子講習会を開く。
製菓衛生師。
『はんなり、まったり、たおやか、な和菓子に魅せられて』
美しい和菓子の世界に初めて魅せられたのは40年も昔の京都でした。
そのころ京都駅には「京都駅前デパート」という京都の銘品をたくさん扱っている二階建ての建物があり、なぜかいつもそこへ吸い寄せられていたのです。
高校を卒業したばかりのわたくしが人生で初めて自分のお金で買った和菓子は千本玉壽軒さんの『西陣風味』と長久堂さんの『きぬた』です。これが本格的な「餅系和菓子」との出会いでした。
ご存知でしょうか、どちらの銘菓も餅菓子特有のはんなりした、まったりした、たおやかな食感と上品な美味しさが絶妙なのです。もう完全ノックアウトでした!
このほかにも鶴屋吉信さんの『柚餅(ゆうもち)』、伊勢の名物『赤福』、お正月にいただく『花びら餅』など、ノックアウトされた餅系和菓子はたくさんあります。
しかし日常生活では、近所のおまんじゅう屋さんで買う桜の季節の「三色団子」だったり、うっすらピンク色の「すあま」だったり、お豆ゴロゴロの「豆大福」だったりで十分、一杯のお煎茶とともに庶民の至福のティータイムを味わいながら、半世紀近くが過ぎていきました。
子育てが終わる頃には、和菓子を味わうことに加えて、今度は自分の手でも作ってみたいという強い欲求が湧き上がってきたのです。
「自分の好きな和菓子を作ってみたい」「色々アレンジした和菓子を作れるかな?」「銘菓を真似っこできるかな?」などなど、頭の中は次から次へと浮かんでくる和菓子のことでいっぱいです。
ついには和菓子作りの世界に足を踏み込んでしまいました。
今や世界中から愛される和菓子たち。一つのお菓子の中にまるで宇宙をみるかのような奥の深い和菓子の世界。
海外の人々にもその繊細さ、はんなり感を伝えられないかしら? 日本の美意識とこだわりと創意工夫を主婦レベルで知ってもらえたら・・・。そんなことを考えながら、日々和菓子作りを続けております。
2017年 10月 吉日